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信濃毎日新聞コラム「斜面」(1月7日)に1句掲載されました

信濃毎日新聞のコラム「斜面」(2009年1月7日付)に、私の「七種(ななくさ)」の句がご紹介されました(以下転載)。
いつのころからだろう。正月の7日に食べる七草がゆにちなんだ商品が、スーパーなどに並ぶようになった。かゆに入れる7種類の若菜のパック詰め、具の七草を凍結乾燥させたかゆなどである

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冬が長く厳しい信州では、もともと正月に七草をそろえるのは難しい。ナズナにしても、田んぼや畑で摘む人たちの姿が見られるのは、桃の節句の前後からだ。この時季のナズナは雪の下か、雪のない所でも葉が放射状に地面に張りついた格好で春を待つ

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〈一年に一度摘まるる薺(なずな)かな〉芭蕉。寒中に若菜を食べ、無病息災を願う七草は、すたれずに続いている伝統行事である。中国の風習に倣い、平安時代には行われていたらしい。古くから俳句にも詠まれてきた。〈七種(くさ)や元婚約者よりメール〉吉田悦花。現代風のこんな句もある

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かゆといえば、連想されるものに炊き出しがある。地震や台風の被災地、紛争や戦争による難民キャンプなどに限らない。南佐久郡小海町に活動拠点をおく民間団体の「山(や)谷(ま)農場」は、都内の路上生活者らのために炊き出しなどの支援を続けて10年になる

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「失業者は簡単に路上生活に転落する時代だ」。主宰の藤田寛さんが本紙に寄せた投書にあった。自己責任が強調され、社会のセーフティーネットが十分でないからだという。“年越し派遣村”が話題になる昨今。いつにもまして、心して七草がゆをすすりたい。

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