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神田まつや

戦火を逃れた木造二階建てのノスタルジックな外観は、いかにも蕎麦の老舗にふさわしいたたずまい。

引き戸をがらっと開けると、少し薄暗い店内に、大きな木製の低めのテーブルと椅子がかなりびっしりと並んで、いつうかがっても、ほとんど満席。レトロな雰囲気とともに、江戸時代の蕎麦屋に迷い込んだ気がします。

お客同士が肩を寄せ合いながら座っている感じですが、不思議と窮屈な感じはありません。会社員のグループや個人客が合い席になっているが、どこも楽しげです。

接客の女性たちの客あしらいも無駄なく、てきぱきと活気があり、我が家に帰って来たような居心地のよさ。

雰囲気、サービス、味、品揃え、客層、どれをとっても、江戸蕎麦の店らしい空間を醸し出していることは周知のとおり。

店の右奥に設けられたガラス張りの手打ち部屋では、蕎麦を打つ姿を見ることができます。

蕎麦の産地は一定ではなく、折々に最良と確認した国内産を用いているそう。蕎麦粉10割、つなぎは卵のみ。もり蕎麦は、普通よりやや褐色。蕎麦の量は、やぶそばに比べて若干多め。

コシ・つや・香り、いずれも良い。なめらかさに少し欠ける気もしますが、それがかえって、やや辛めの蕎麦のつゆが引き立て、「まつや」独得のまろやかな味を作り出しています。

行列のできる蕎麦屋にもかかわらず、安定した味の蕎麦を提供しているのは、創業一二〇年の貫禄に裏づけられた確かな技術力でしょう。

薬味は、葱のみ。ワサビはなし。七味唐辛子は、「まつや」特製の「ゆず七味」が各テーブルに。冷たい蕎麦には、葱やわさびですが、あたたかい蕎麦には七味唐辛子が合います。

「ゆず七味」は、柚子のほかに唐辛子、胡麻、陳皮、山椒などを混ぜ合わせたもので、蕎麦つゆの旨みを高めます。

蕎麦湯は、熱くてコクがあります。つゆに混ぜると、つゆの旨みは変わらずに、よい具合に薄まります。そこへ「ゆず七味」を入れると、さらに風味が広がります。

蒸籠と湯桶は、ともに朱塗りのもの。猪口と薬味皿は白地に藍の模様の入った陶器。箸は割り箸。

名物の一つ、ごまそばのすり胡麻のたれは、ほのかな甘味があり、老若男女を問わず人気が高いようです。

酒の菊正宗特撰は、正一合の真っ白な徳利で出てきます。そばみそは、酒類につきます。卵焼き(予約が必要です)やわさびかまぼこなど、蕎麦屋のつまみの定番も揃っています。

東京都千代田区神田須田町1-13
℡033251-1556

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