手紙魔
会いたい人に会う。
月刊誌編集部の取材記者1年生の私は、毎日、熱にうかされたように、人に会いに行った。
さまざまな分野の第一人者と呼ばれる人に会った。
好奇心の赴くまま、年齢も性別もさまざまな人に会ってお話を伺った。それは、2時間、半日にも及ぶこともあった。そこで新しいエネルギーを得ると、さらに人に会った。
なにしろタフだった。毎朝、グループ会社で最も早く出社した。徹夜明けでふらふらになっても、早朝の電車に揺られて、1時間かけて通勤した。
まず、お湯を沸かし、先輩たちの机を拭き、ひと息つく間もなく、始業時間の9時まで、せっせっと取材申し込みの手紙を書いた。
電話を入れ、アポをとり、手帳に日時と場所を書き入れ、朝1から取材に駆け回る。スケジュール表は、いつも朝から夜まで、予定でびっしり埋まっていた。毎日、最低でも2人、年間300人を超える方にインタヴューした。
夕方、帰社すると、インタヴューの余韻にひたりながら、すぐお礼の葉書をしたためる。毎日、朝な夕なラブレターを書き続けているようなものだった。社内では手紙魔と呼ばれた。
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