初めての俳句の作り方⑤
昔は10年ひと昔といった。ところが今は、5年、下手をすると2年ひと昔なのである。私が生まれ育った昭和も「遠くになりにけり」だ。
リフォーム全盛の昨今。住まいから段差は急速に失われている。バリアフリーといって、できるだけ障壁や段差をなくした空間が「人にやさしい」とされている。
同時に、日本家屋の特徴である畳や障子も急速に姿を消している。床はフローリングと呼ばれる段差のない板張りとなり、障子は軽くて手入れの簡単なアルミサッシになっている。
よいか悪いかはともかく、合理性や安全性などを追求した1つの方向性といえよう。
そういう時代だからこそ、段差が新鮮。家の中で段差を意識するのは、私の場合、2月3日の節分である。今日、近くの神社でも豆撒きが行なわれ、たくさんの子どもたちで賑わっていた。そこで手に入れた福豆を先ほどいただいたところだ。
子どもの頃、私は、この日を心待ちにしていた。撒いた豆は、音を立てて床に散らばる。そのとき、「あっ、ここに段差がある」と足元の段差を意識する。
段差というものは、なぜか、そこで過ごした時代と、家族の存在を強く意識させる。あの頃にはもう還れない。懐かしく、どこかせつない。しかし、現実に厳然と存在する段差。
いうまでもなく、節分とは、春の節に移る分岐点。まず、段差を強く意識することから始めたい。
豆撒く声いくとせわれら家もたぬ 高島 茂
ボクシンググローブ真つ赤鬼やらひ 吉田悦花
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