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2004.11.12

絶滅のかの狼を連れ歩く

俳人・三橋敏雄氏が逝去されてから、三橋氏が健在であったならば、現在の世をどのように詠まれるだろうかと思うことがある。

2002年1月18日。東京・霞ヶ関の日本プレスセンターの「アラスカ」で、前年末亡くなられた三橋氏を偲ぶ会が行われた。

高橋龍氏の開会の辞に続いて、発起人の一人である鈴木六林男氏の挨拶、元「断崖」編集長の木村澄夫氏の献杯。三橋氏の遺影に、集まった俳人一人ひとりによる献花が行われた。

三橋氏は、大正9年東京生まれ。昭和10年14歳で俳句をはじめ、渡辺保夫、渡辺白泉、西東三鬼に師事。昭和13年新興俳句無季派の新人として「戦争」と題する無季57句を発表して山口誓子に激賞される。

弾圧を受けて消えてしまった新興俳句運動の貴重な発言者として、戦後も一貫して「戦争」にこだわり続けた。

昭和41年句集『まぼろしの鱶』で現代俳句協会賞、『畳の上』で蛇笏賞をそれぞれ受賞。

  少年ありピカソの青のなかに病む

  いつせいに柱が燃える都かな

  絶滅のかの狼を連れ歩く

  手をあげて此の世の友は来りけり

  戦争と畳の上の団扇かな

なかでも「いつせいに」の句は、新興俳句の白眉とされ、三橋氏の代表句である。

三橋氏に初めてお目にかかったのは、たしか、新宿西口の居酒屋「ぼるが」店主で俳人の高島茂氏を偲ぶ会(京王プラザホテル)だった。

その後も、毎日新聞社の「俳句α あるふぁ」創刊十周年の集い(如水会館)でも乾杯の挨拶をされるなど、元気な姿を拝見していただけに、急逝が惜しまれる。

会場には、生前の三橋氏の幅広い交友を思わせるように、茨城和生、磯貝碧蹄館、宇多喜代子、大串章、桂信子、金子兜太、加藤郁乎、倉橋羊村、小島健、津根元潮、中原道夫、橋本美代子、藤田湘子、深見けん二、坊城俊樹、松澤昭、松井和一、和田悟朗、小澤實氏などの俳人のほかにも、詩人の宗左近、高橋睦郎、作家の村上譲、川上弘美氏などの姿もあった。

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