頭の中で白い夏野となつてゐる ⑤
ちるさくら海あをければ海へちる
眼前の風景をたしかに捉えながら、すべてが青い海に吸い込まれていくような、永遠性や時間の連鎖など、時空を超越した心象風景の「虚実の皮膜」を創出している。
石の家にぼろんごつんと冬がきて
鳥とほくなりゐる秋のわかれかな
血をたれて鳥の骨ゆくなかぞらに
地球ごと風がまはるよ蝶飛来
一瞬の海のかなしみ流れ星
詩の泉さらさら流る爆心地
きりぎりすきのふのそらのきのこ雲
白い夏野の黒い焼野のきりぎりす
こうした句からも、窓秋が、叙情的な抽象世界だけを追及した俳人ではないことが読みとれる。
時代を見つめる深い思惟、虚無感、死生観を凝縮した鋼のような詩情がひたひたと伝わってくる。
「白い夏野」は、窓秋の原風景であり、戦争を目前にした若き日の絶望の表現、だったのではないか、と。
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Comments
私が拝読しながら強く感じたのは
色彩の流れです
一行毎に色が浮かび
流れるような虹が 私の心に描かれました
美しくもあり
虚しくもあり
時代の流れには逆らえない虹
Posted by: 岡本理香 | 11/08/2004 at 20:24