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11/04/2004

頭の中で白い夏野となつてゐる ④

長い休止期間を経て句作を再開したものの、平成11年に88歳で亡くなるまで、窓秋の作句活動は断続的であり、決して精力的とはいえない。

はっきりいって寡作である。

いわゆる俳壇からも最後まで距離を置き、「自分から句集を出そうなどという気持ちなど、さらさら無い」こともあり、その作品世界が知られる機会は、極めて限られていた。

私のように、この『高屋窓秋俳句集成』によって、その全貌を初めて知ったという人も少なくないのではないか。

窓秋は、代表句「頭の中で」のイメージからか、甘美で抽象的な叙情俳人といわれる。

しかし、本書に収められた4つの句集と補遺を読んだあとでは、冒頭に掲げた「頭の中で」の印象がまるで異なるものに思えてきた。

もう一度。
 
頭の中で白い夏野となつてゐる

酷いほどの夏の日差し。

遠くで子どもたちの声がする。

蝉しぐれ。

現実には、青い夏野が広がっている。

しかし、私の脳裏は、「白い夏野となつてゐる」。

まばゆいばかりの、焼け付くような明るさ。

そして匂い。

それらを覆い尽くすまでの寂寥感。

不安感、孤独、渇きを凝視する、いたましいまでに鋭い視線。

戦中・戦後の喪失感や虚脱感を予見したかのような作品だ。

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